スイス旅行記(8) 

 リーダーアルプ 


リーダーアルプに関しては、ガイドブックもあまり詳しく触れていませんでしたので予備知識はありませんでしたが、ここへ行く途中で、環境保護で知られている所だと聞きました。
環境保護といえば今では世界中で叫ばれている言葉ですし、最近は国際会議が開かれることも多い大きなテーマです。大自然で有名なスイスの中で環境保護で知られているところというのですから、私は研究所や調査機関や、大きな会議場があるのかと思っていました。
そこここに調査観察のためといって柵がしてあったり立ち入り禁止の場所などがあるのかと思っていました。
ところがケーブルカーを降りてまわりを見渡したら、山の中腹になだらかな平野が広がって、小さなホテルがゆったりと建っている他は何もありません。

花が咲き乱れる草原の中をホテルに向かって歩いてゆくと、ゴルフ場の看板がたっていました。ゴルフ場といえば、自然環境を破壊する開発の代表のようなイメージがありますから、環境保護とは反するのではないかとびっくりしました。
でもそのゴルフ場というのも、パターゴルフを楽しむ事が出来る自然の草原でした。

フロントの人の話では、冬はアルペンスキーの場所としてとても混むのだそうです。私が両替を頼みに行ったら、丁度飲み物等の配達に来ていた人が日本のお金を見たいと言い出して、手渡したら珍しがって見ていました。それ程に、ここへ来る日本人は少ないのだそうです。

リーダーアルプから少しロープウエイに乗ると、アレッチ氷河をすぐ近くで見る事の出来ると言われたのですが、ここが今回のスイス旅行でのんびりと過ごせる最後の場所ですから、氷河を見に行かないでのんびりとスイスらしい草原を楽しむことにしました。
あたりを歩いてみるとお店もあるのですが、スーパーとレストランの一部を除いては休業中でした。
絵を描いていると、夏休みに入った子供が寄ってきて、友達も呼んで、大きな犬まで連れてきました。
写真を撮ろうと言ったらワンちゃんを一生懸命こちらに向かせてくれました。

道端で立ったまま絵を描いていると、電気自動車や馬に乗った人がよく通ります。

ちょっと疲れて足元にスケッチブックを置き、伸びをして休んでいた時の事です。
後ろに何か気配がするので振り向くと、なんと目のすぐ前に馬の顔。身をかがめて私の顔をのぞきこんでいました。誰も乗っていません。
びっくりして身動きも出来ずに困っていたら、今度は絵に鼻先を寄せてしばらく匂いをかいでいました。私の絵が気に入ってくれたなら馬さんも歓迎ですが、その時は恐かったです。

何もない所でしたが、都市生活を送る身にはいつもと全く違う空間を経験する事が出来て、今でも印象に残っている場所です。


そしていよいよ最後の日。
再びチューリッヒに1泊だけ寄りました。

明るいうちに着いたので町を歩いてみたら、もうすぐ世界中からジャズフェスティバルを見るために人々がやってきますし、「牛祭り」の最中だったので町は大賑わいでした。
いろいろな国に続く駅の周辺には、近代的なビルとヨーロッパの歴史を感じさせる建物が混在し、町を横切るように豊かな水量の大きな川が流れていました。そして様々な国の旅行者とファッショナブルな若者達。
現代と長い歴史が溶け合って調和した町でした。これは裏通りで撮った写真です。

自然の営みのままに保たれている大自然。
各所で自動車の乗り入れを禁止して守っている、おいしい空気と青い空。
親しみやすい人達。
小さな国土なのに、とても大きな国のような感じがする国でした。

旅行情報は、別ページにまとめました。

(1)出発まで(2)ロンドン経由チューリッヒへ(3)静かな村ミューレン
(4)ユングフラウ・ヨッホ(5)シルトホーン・インターラーケン(6)モントルー・レマン湖畔
(7)モントルー・国境の村(8)リーダーアルプ(この頁)(9)旅行のまとめ

スイスの山歩きで見た
花の写真をご覧下さい。


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