歴史の中のボタニカルアート



Botanical (ボタニカル)は「植物学上の」という意味ですから、ボタニカルアートは直訳すると、「植物学上の芸術」と訳せますね。
ちょっといかめしい名前ですが、単純に言えば、植物学的に正しく描いた絵ともいえると思います。
ギリシア・ローマ時代の壁画には植物が描かれているので、当時どんな植物があったのかわかります。これがボタニカルアートの発祥とされます。

薬草の記録
 その後必要があって盛んに描かれたのは薬草でした。大昔は化学薬品などありませんから怪我や病気の治療薬は植物ですよね。使い方を間違えると大変なので、お医者さまは植物の薬効がある部分や使い方の説明も含めて植物の姿を詳しく記録しました。

コロンブスの大航海時代とボタニカルアート
時代が進み、コロンブスが世界を航海した時、見知らぬ大陸で珍しい植物を採集して持ち帰りました。でも、植物は航海の間に枯れてしまいます。そこで植物に詳しい薬学者や植物学者が船に乗り、各地で植物を描くようになりました。これは当時の富裕層たちが絵画として部屋に飾ったりするほどの人気だったそうです。しかしあくまでも描かれた植物の珍しさへの興味だったのではないでしょうか。まもなく絵画的人気はあせました。

園芸とボタニカルアート
 ヨーロッパ各地で起きた戦乱が一段落した時代に、園芸が流行りはじめました。王侯貴族は庭師を雇って沢山の花を集める事を競いました。どんなに美しい花もやがて色あせて散ってしまいますので、画家を雇って最盛期の花を描かせる事も流行しました。科学者が描いた正確で克明な描き方を伝承しつつ画家が描いた絵が生まれた訳ですね。

ボタニカルアーティスト
15世紀にデューラーが草むらの様子をくまなく描いた絵は今も残り専門分野の愛好家に賞賛されています.
誰でも知っている画家 レオナルド ダ ヴィンチもボタニカルアートを描いています。
美しくて親しみ易いボタニカルアーティストとして有名なのが、なんといっても18世紀ベルギー生まれのルドウテ(Pierre Joseph Redoute)ではないでしょうか。ナポレオン夫人だったジョゼフィーヌが世界中から集めたバラの庭園を作り、そのバラを描いたルドウテは薔薇の宮廷画家と呼ばれています。
この頃になると克明な記録としてだけでなく絵の美しさも備えたものになり、再びボタニカルアートの人気が高まったそうです。この時代には多くの画家が絵を残しましたが、植物を細部や内部まで明細に描いた植物図から芸術性を追求した観賞用の絵画まで、画家の描き方も多様になったようです。

映像科学が発展した現代のボタニカルアート
  カメラが発明されるまでは、植物の姿を記録する唯一の方法は明細な絵図でした。カメラ、印刷、レンズなどが発展するにつれて、ボタニカルアートは「植物の姿を克明に記録する」というだけでなく鑑賞する絵として華やかに進展してきました。その結果画家の個性にあふれた絵が生まれていますが、どのような構図や画材で描かれる時も「植物学的に正しく描く」というボタニカルアートの基本が大切にされています。

何故白地?花瓶は描かないの? などはこちらでご覧下さい。


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